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海と産みの信仰
当宮の古文書によると、八幡宮の八幡を「八海」=「矢渡」(やわた)と読み慣わしている。「八海」(やわた)とは、奈呉の浦から広がる大海原のことであろう。
地元の人々には、八幡様は、海の神様であるという認識が強かった。当宮は、奈呉の海を背に南面して建っている。参拝者からみると、海に向かって参拝するかたちとなる。古くから、漁業関係者の崇敬が篤い。漁に出るときは、八幡宮裏の海上で3回旋回し、参拝してから沖に出かけたという。
拝殿に「昆布をもった仙人」の絵馬が掲げられている。昆布は、蝦夷地が産地であり、放生津は、北前船の交易でも栄えた港町である。北前船の船主ら商人も篤く信仰した。
また、当宮には安産の信仰がある。海は産みに通じるからであろうか。海は、全ての生命のふるさとであるともいわれる。当宮の築山の姥神には、子孫の繁栄を見守り安産の信仰があった。子どもに晴れ着を着せて、家族そろって姥神を拝んだという。姥神のみならず、当宮に安産の祈願をする参拝者は絶えることがない。
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